アニメ 甲鉄城のカバネリ
あらすじとyosshisshiのアニメレビュー

あらすじ <introduction

世界中に産業革命の波が押し寄せ、近世から近代に移り変わろうとした頃、突如として不死の化物が現れた。鋼鉄の皮膜で覆われた心臓を破壊されない限り滅びず、それに噛まれた者も一度死んだ後に蘇り人を襲うという。後にカバネと呼ばれる事になるそれらは爆発的に増殖し、全世界を覆い尽くしていった。

極東の島国である日ノ本ひのもとの人々は、カバネの脅威に対抗すべく各地に「えき」と呼ばれる砦を築き、その中に閉じ籠もることでなんとか生き延びていた。駅を行き来ができるのは装甲蒸気機関車(通称、駿城はやじろ)のみであり、互いの駅はそれぞれの生産物を融通しあうことでなんとか生活を保っていた。

製鉄と蒸気機関の生産をなりわいとする顕金駅あらがねえきに暮らす蒸気鍛冶の少年、生駒いこま。彼はカバネを倒すために独自の武器「ツラヌキづつ」を開発しながら、いつか自分の力を発揮できる日が来るのを待ち望んでいた。

そんなある日、前線をくぐり抜けて駿城の一つ甲鉄城が顕金駅にやってくる。車両の清掃整備に駆りだされた生駒は、義務であるカバネ検閲を免除される不思議な少女を目撃する。
その夜、生駒が無名と名乗る昼間の少女と再会するなか、顕金駅に駿城が暴走しながら突入してきた。乗務員は全滅し、全てカバネに変わっていたのだ。
顕金駅にあふれ出るカバネたち。パニックに襲われる人々の波に逆らうようにして、生駒は走る。今度こそ逃げない、俺は、俺のツラヌキ筒でカバネを倒す。

アニメ情報

監督          荒木哲郎
シリーズ構成/脚本   大河内一楼
キャラクター原案    美樹本晴彦
キャラクターデザイン 江原康之
音楽         澤野弘之
アニメーション制作  WIT STUDIO
放送期間 2016年4月~6月 フジテレビ系列

OPテーマ 
【KABANERI OF THE IRONFORTRESS】
作詞・作曲・編曲 ryo / 歌 EGOIST

EDテーマ
【ninelie】
作詞・作曲・編曲 澤野弘之 / 歌 Aimer

登場人物

生駒(いこま) CV:畠中 祐
製鉄と蒸気機関の生産をなりわいとする顕金駅に住む蒸気鍛冶の少年。カバネを倒すために独自の武器【ツラヌキ筒】を友人の逞生とともに開発している。今はまだ皆に侮られているが、いつか見返せる日が来ることを待ち望んでいる。

無名(むめい) CV:千本木彩花
甲鉄城に乗って現れた謎の少女。どうやら武士から特別扱いされているようだが、その正体は・・・

菖蒲(あやめ) CV:内田真礼
顕金駅を治める四方川家の惣領。いずれは父に代わり顕金駅を治める立場だが、今はまだ自分の意見をはっきりと言えず、周りに流されてしまう部分がある。

来栖(くるす) CV:増田俊樹
四方川家に仕える若き武士。菖蒲の身辺警護を任されており、剣の腕は武士の中でもかなりのもの。謹厳実直な部分があり、武士の面目を保とうとする。

逞生(たくみ) CV:梶裕貴
顕金駅に暮らす蒸気鍛冶の少年で、生駒の友人。無鉄砲な生駒を呆れ顔で受け入れているが、何者に対しても恐れず向かっていく生駒に対して憧れも抱いている。

鰍(かじか) CV:沖佳苗
顕金駅に暮らす蒸気鍛冶の少女。生駒や逞生の職場仲間で家庭的な性格。

侑那(ゆきな) CV:伊瀬茉莉也
日ノ本各地に物資を運んで回る駿城、甲鉄城の乗務員。寡黙だが働き者で仕事熱心な姉御肌。

巣刈(すかり) CV:逢坂良太
顕金駅に暮らす蒸気鍛冶の少年。皮肉屋で斜に構えているが、冷静で判断力がある。

吉備土(きびと) CV:佐藤健輔
四方川家に仕える武士。武士としては物分かりがよく、身分違いの人間にも分け隔てなく接する。

美馬(びば) CV:宮野真守
駅の外でカバネ相手に戦いを続ける狩方衆の総長。無名から兄様と呼ばれ慕われている。将軍の長男だが、今は勘当されている。

引用元 【甲鉄城のカバネリ】公式サイト

甲鉄城のカバネリを見るならdアニメがおすすめ
<アニメ総合見放題サイト>TV放送中の最新作からなつかしの作品まで、あなたが見たいアニメがきっとみつかる!さらにはアニソンライブやミュージカルも配信!

各話ストーリー <ネタバレ注意>

第一話 脅える屍

顕金駅で蒸気鍛冶を生業とする少年、生駒は親友の逞生たくみと日々カバネの心臓皮膜を破る武器開発に明け暮れていました。ある日、生駒が働いている蒸気鍛冶に顕金駅を治める四方川家の長女である菖蒲が父の短筒の修理をと訪ねてきます。菖蒲の対応を任される生駒。そこに顕金駅に到着予定より1日早く駿城 甲鉄城が帰ってきます。停車駅が一つ潰れたことで到着が早まったのでした。生駒は甲鉄城の清掃整備に従事しながら、甲鉄城に残っていたカバネの身体の一部を実験のために持ち出します。
駿城の乗務員は全員カバネ検閲を受けるのですが、唯一検閲を受けない少女を生駒は目にします。どうらや四方川家の客人のようでした。その時、検閲で身体に傷を負った男が発見されます。男に銃を向けて殺そうとする武士に対して、カバネの疑いのあるものは三日三晩牢に閉じ込めるのが決まりだから殺すなと叫ぶ生駒。結局男は射殺されたがカバネ感染はなく、武士に歯向かった生駒は牢に入れられることに。

その夜、牢に閉じ込められた生駒の所に、名を無名と名乗る先程の少女が訪ねてきます。同時刻、到着予定時刻に顕金駅に入ってきた扶桑城ですが、すでにカバネに乗っ取られており顕金駅は扶桑城からあふれ出たカバネで大混乱となります。顕金駅の武士が応戦するも、まったく歯が立ちません。カバネ襲撃の警報であるスズナリが鳴り響くなか、生駒は混乱に乗じて牢を脱出し、カバネと戦うためにツラヌキ筒を取りに行きます。
改良を重ねたツラヌキ筒はカバネの鋼鉄皮膜を見事に打ち抜きました。自分の努力が報われた生駒は喜びますが、同時に右腕に傷を負ったことに気が付きます。カバネは祟りなどではなくウイルスであると考えていた生駒は、傷口から広がる浸食を食い止めようと右肩を金属片で打ち付けるも浸食は止まりません。いよいよ首まで浸食が進む中、自分の首を括って血流を止め浸食を防ぎます。生駒は過去に妹をカバネに殺されるところを目の当りにし、何もできないことをずっと悔やんでいました。「今度こそ、俺は、俺の誇れる俺になるんだぁ。」そんな生駒の強い想いがカバネの浸食を食い止めます。

一方、目的地の金剛郭へ行くため甲鉄城へ向かう無名の前に、カバネが立ちはだかります。襲い来るカバネを無名は一蹴。首を跳ねられ、カバネはその場に崩れ落ちます。

第二話 明けぬ夜

生駒の元に逞生が駆けつけてきます。逞生のアドバイスで改良したツラヌキ筒でカバネを倒したことや、噛まれたがウイルスを止めてカバネにならなかったことを逞生に話します。

甲鉄城に向かった父からの合図を待つ菖蒲ですが一向に合図がありません。言いつけどおり合図を待つ菖蒲ですが、配下の中には合図など来ないから勝手に動くという者も出始めます。そんな中、無名が甲鉄城までの道を開くから駿城を動かしてくれと言います。菖蒲たちの前に立ちはだかっていたカバネたちを無名は簡単に殲滅します。

甲鉄城にたどり着いた生駒と逞生ですが、カバネが現れて生駒はカバネと戦うことを決意。そのカバネを瞬殺した無名。避難してきた顕金駅の民人達と甲鉄城に乗り込みますが、菖蒲たちが甲鉄城に乗り込んだところでカバネの大群に襲われます。民人達が乘る後部車両に乗り込んだ生駒と逞生ですが、そこに侵入したカバネを生駒が撃退します。意気揚々とする生駒ですが、生駒の胸が鋼鉄皮膜のカバネの心臓になっていました。騒ぎを聞きつけて菖蒲の配下である来栖がやってきます。来栖は生駒の身体を見て銃を発砲、撃たれた生駒は車外に放り出されてしまいます。

甲鉄城が顕金駅を出発していく時間が過ぎたか、道を遮るように線路にカバネの群れが立ちはだかります。カバネの様子を見に前方を確認する来栖は、カバネたちの中で顕金駅の領主であり菖蒲の父である四方川堅将の変わり果てた姿を見つけます。菖蒲もその姿を見つけますが、来栖はあれはカバネだと甲鉄城の走行を止めません。父を失った菖蒲は甲鉄城の責任者となるのでした。

跳ね橋についた甲鉄城ですが、カバネと化した堅将の死体が挟まって跳ね橋が下がらず立ち往生。そこでカバネの大群に襲われます。打つ手なしの状況でカバネの中に一人、人間を発見します。来栖に撃ち落された生駒がカバネを倒しながら跳ね橋のレバーをおろして甲鉄城は再び走り出しました。
動き出した甲鉄城を嗚咽を漏らしながら見送る生駒。そこにロープのついたフックが飛んできます。『掴め、生駒! そこに居るのはカバネなんかじゃない。俺の友達だ。』周りに押さえつけられながらも逞生は生駒を助けようと必死ですが、生駒は下を向いたまま動きません。逞生の叫び声が響くなか、甲鉄城から無名が飛び出し生駒を助けます。甲鉄城に乗り込んだ生駒ですが、来栖から自決を迫られます。無名は生駒はカバネじゃないといい、自分の上着を脱ぎ背中を見せます。その背中には生駒と同じく鋼鉄皮膜に覆われた心臓が見えていたのでした。
『私たちはカバネリ。人とカバネの狭間にあるもの。』

第三話 捧げる祈り

無名が人ではないと知った来栖は無名を敵対視し、無名もまた応戦する構えです。そこに菖蒲がやってきて無名と生駒は私たちの恩人だと来栖を止めます。身体はカバネ、心は人間だと言う無名は金剛郭まで行く甲鉄城に乗せてくれと菖蒲に頼みます。金剛郭とは幕府のある最大の要害です。

正体を明かした無名と生駒は甲鉄城の最後部車両から出ないことを条件に、菖蒲たちと行動を共にします。無名が金剛郭に向かう理由は【兄様】と約束したからと言います。カバネ研究の最先端でもある金剛郭に生駒も興味がありました。長く戦えない無名は生駒を自分の盾として鍛えることに。そんな中、甲鉄城の給水タンクが破れており次の駅まで走れないことが判明します。仕方なく一時停車し給水することになった甲鉄城。貯水タンクの修理は翌日の朝までかかる見込みで、その間に顕金駅から乗せた民人の要望で死んだ者たちの葬儀をすることになりました。
無名から右手に付けている石を聞かれて自分の過去を話す生駒。子供の頃、妹と河原で拾った綺麗な石を互いにお守りとして持っていようと。そこに駅がカバネに襲われ取り残された二人。妹がカバネに捕まって生駒は助けを呼ぶとその場をはなれたが、本当は逃げてしまった。戻った頃には妹は変わり果てた姿になり、カバネとして動きだす前に生駒自身の手により爆薬で心臓を破壊したのでした。
この選択を生駒はずっと悔やんでいました。『あの時、たとえ一緒に死んでも恐れを捻じ伏せて戦うべきだった。あの日の臆病を何万回憎んでも、妹はかえってこないんだ。』

民人の一部が武器を手にして甲鉄城にいる生駒と無名の元へ。それを止めようとする菖蒲ですが、カバネと一緒に行動できないという民人の想いも無下にできず、生駒に短刀を突き付けて生駒の真意を聞き出します。生駒の想いを聞いてひとまずその場を収めた菖蒲ですが、様子がおかしい生駒が菖蒲に襲い掛かるのでした。

第四話 流る血潮

菖蒲に噛みつこうとした生駒を来栖がぶっ飛ばします。その衝撃で気を取り戻した生駒。その時、甲鉄城はすでにカバネに囲まれていました。給水地から甲鉄城に避難する人々。修理が済んでいない状態ですが、甲鉄城は走りだしました。

カバネリを乗せたからカバネに襲われたと噂する民人達。菖蒲は責任を取らされる形で、堅将に使えていた六頭領に甲鉄城の親鍵を奪われてしまいます。さらに六頭領は、危険だと菖蒲の意見も聞かずに金剛郭への近道だと山越えのルートに変更します。
カバネの味方をするからと逞生、かじか巣刈すかりも生駒と無名の乘る最後尾車両へ連れてこられます。生駒達を信じられない六頭領達が最後尾車両を切り離そうとします。
同じタイミングで甲鉄城はトンネルに差し掛かりますが、トンネルから大量のカバネが甲鉄城に飛び降りてきました。カバネの中でもひときわ大きく双剣をもったカバネが、車両を切り離そうとした六頭領を切り殺します。そのまま車両の中へ侵入し、民たちを殺しながら前方車両へ進んでいきます。生駒は無名と自分たちがカバネを倒すことを決断し列車の外から前方車両を目指します。

前方車両では菖蒲たちが陣形を構えてカバネの侵入を防いでいます。来栖が双剣のカバネリ(ワザトリ)と応戦しますが、脇腹を貫かれます。
無名は空腹のために途中で動けなくなり、生駒も自分の限界が近いことを知ります。それでも単身で菖蒲たちのいる前方車両にたどり着いて、俺がワザトリを倒すから誰か血を分けてくれと叫びます。菖蒲が車両上部に飛び出し、自分の腕を切って生駒に叫びます。
『これは契約です。私の血と引き換えに、生駒、闘いさない。』
菖蒲の血を飲んだ生駒はワザトリの一撃をかわし、鋼鉄皮膜をツラヌキ筒で破壊します。

菖蒲は生駒と無名を甲鉄城に乗せることを正式に宣言します。二人への血の提供は自分がすると。それを聞いて鰍、逞生たちも自分達も血を提供すると言います。
ようやく信頼された生駒と無名。
【助けられなかった人達の魂は、いずれ俺の妹とも会うだろうか。もし会ったなら悪いけどあいつに伝えて欲しい。お前の分まで俺は頑張って生きるから、寂しくてもそっちで待っててくれよなって。】
夜明けを走る甲鉄城で生駒は守れなかった妹に想いを馳せるのでした。

第五話 逃げられぬ闇

生駒のツラヌキ筒を改良した噴流弾を開発し、生駒や無名以外の武士でもカバネを倒すことができるようになりました。刀もカバネ心臓の鋼鉄皮膜で刀身を覆い折れにくいように仕上げました。

次の駅である八代駅に向かう甲鉄城ですが、八代駅からの反応はなく狼煙が上がっていました。やぐらが線路に覆いかぶさってこのままでは通り抜けることができません。
八代駅の生き残りを保護した菖蒲たちは駅の状況を聞きます。八代駅は3日前に突然、塀を乗り越え襲ってきた【黒煙】にやられたのでした。
八代駅の生き残りの中に知った顔をみた無名。人気のない場所で久しぶりにお互いの情報を確認します。右目に眼帯と左脚が義足の榎久えのくと名乗る男は、20日前に幕府が大量に人を殺す武器を仕入れたことを若様に伝えてくれと無名に頼みます。榎久は自分の事を若様の耳と言い、無名を爪と言います。どうやら若様(無名が言うところの兄様)という人物に仕えている組織の一員のようです。若様に見限られないようにと言い放ってその場を去る榎久。無名の中で過去に組織の一員が処分された記憶が蘇ってきました。

八代駅の櫓の対策を話し合う菖蒲たち。生駒は中心部のクレーンを動かせば櫓を撤去できると進言します。クレーン操作は機械に詳しい逞生と巣刈に頼み、近くにある窯場の動力レバーを生駒が動かすことでクレーンを操作できるようになります。

窯場はカバネの巣になっているために刺激せず、万が一の際は生駒と武士でカバネに対応する作戦です。無名は榎久との会話での焦りからか、すぐ窯場に突入すればいいと言って生駒たちと一緒に戦わないと宣言し、自分が窯場に突入してカバネを撃退するから機械の操作だけは間違うなと言ってその場を去ってしまいます。態度が急変した無名を不思議に思う菖蒲たち。

クレーンを動かす作戦が始まりました。カバネの姿もなく作戦は順調にと思いきや、窯場に単身で向かう無名の姿が。
無名を追って窯場に向かう生駒達。そこでは動かなくなった大量のカバネと息を切らした無名が。
窯場のレバーを引いてクレーンの動力を確保した生駒達ですが、クレーンの下の影だと思ったものは、駅を埋め尽くす数のカバネ達でした。無名が窯場に居るカバネを倒したことで刺激され、動きだしたのです。無名はなんとかしようと単身カバネ達のもとへ。
覆いかぶさった櫓の撤去のため、操作室でクレーンを操る生駒とその眼下でカバネ達と戦う無名。逞生や巣刈、吉備土達は甲鉄城まで下がります。
櫓が邪魔で立ち往生の甲鉄城の前に、駅を埋め尽くしていたカバネ達が合体して大きな黒い塊となった【黒煙】がその姿を現しました。

第六話 集う光

黒煙が甲鉄城に襲い掛かります。倍以上の大きさで、一撃を食らうと甲鉄城でも無事ではすみません。甲鉄城は避難線に逃げ込み鉄扉で防御します。襲い掛かる黒煙は鉄扉に激突し、塊の状態である黒煙からカバネへと分解しました。

窯場で大量のカバネを倒した影響で動けなくなり気を失っていた無名。過去に目の前で仲間のカバネリが処分される姿を思い出して意識を取り戻します。黒煙により大規模な崩落が起こり、無名は残骸に下半身を挟まれていました。動けない無名を助けようとする生駒ですが有効打が見つかりません。カバネの叫び声を聞いた生駒は、無名救出を後にして自らにカバネをおびき寄せるのでした。

吉備土達に助けられた無名は生駒を捜します。地下坑道の先で鋼鉄皮膜を一撃で破られていたカバネ達の死骸の先に、身体中をカバネに噛まれた生駒が倒れていました。なんとか意識はあり、地下坑道から地上にでたところで黒煙が動き出しました。黒煙の正体はカバネの融合群体です。カバネでも人の死骸でもなんでも取り込んで大きくなるのでした。
巣刈は八代駅に四八式鎮守砲があったことを思い出し甲鉄城に追加装備をします。集合群体の中に1匹だけ心臓になっているカバネがいます。四八式で集合群体をばらけさせて、心臓部のカバネを無名たちが倒す作戦です。

あらかたカバネの取り込みが終わり、いよいよ甲鉄城を追って迫ってきた黒煙。四八式を甲鉄城につなぎ終えて黒煙に照準を合わせます。狙いを定める逞生に無名はギリギリまで引き付けろと言います。襲いかかる集合群体にビビッて引き金を引く逞生。狙いが外れた四八式の弾丸は集合群体の頭をぶっ飛ばし十分に威力があることを証明します。生駒と来栖が襲い来るカバネと共闘。限界まで引き付けた所で逞生が放った四八式の弾丸は、狙い通り群体の心臓部をぶっ飛ばし、核となるカバネまでの道を作ります。そこに飛び込む無名は心臓部にカバネと化した昔の仲間のカバネリを見ますが、迷わずに刃を突き刺します。心臓部を破壊したことで群体は分解。こうして甲鉄城は八代駅を後にするのでした。

第七話 天に願う

走り続ける甲鉄城の前に次の駅である倭文駅しとりえきが見えてきました。菖蒲は駅の城主にあいさつに、他の者も甲鉄城の補修パーツや生活に必要な品を買い出しに出かけます。倭文駅に着いた日はちょうど七夕でした。七夕を知らない無名に菖蒲は七夕をやろうと言います。鰍は無名を連れて食材や衣服の買い出しに、生駒と逞生は噴流弾の部材を調達に、侑那と巣刈は甲鉄城の補修部材を仕入れにそれぞれ出かけます。

城主の屋敷を訪ねた菖蒲ですがいっこうに城主が現れません。招かれざる客としてまともに取り合う気が無いようです。それならばと家老に噴流弾を実演し威力を見せつけた所で倭文駅にも提供する旨を伝え、甲鉄城に食料提供を約束させました。
同じ頃、倭文駅の城主 広塚と将軍家五州廻り小源太が会談をしています。その場に榎久も同席していました。榎久は狩方衆という組織に所属していましたが、今は幕府側の人間のようです。小源太の話では、まもなく倭文駅に【解放者】がやってくると。城主は自分を巻き込むなといいますが、10年前に何かがあったようです。

夕方、鰍たちが買い物を終えて甲鉄城へ帰ってきました。七夕用の笹を手に入れて短冊を吊るす鰍をみた無名は、遠い昔に同じような光景を見た記憶を思い出します。
いつの間にか居なくなった無名を探し出す生駒。神社で一人、もの思いにふける無名を見つけた生駒に無名は昔、母親と七夕をやったことを思い出したと言います。兄様に会う前に母親から【ほづみ】と呼ばれていたことも。どういう字かわからないという無名に、生駒は【穂積】と書いてみせてお母さんがたらふくお米が食べられますようにと願いを込めて名付けたんだろうと推測します。
無名はいつ自分がカバネになってしまうのかと不安を抱えていました。無名の本音を知った生駒は無名を人間に戻す事を決めます。カバネのいない世の中にして、無名にいっぱいお米を食べさせることも。無名の笑顔に、生駒は妹 初音の面影を見るのでした。

その夜、甲鉄城の民人達は笹の葉に吊るす短冊を書いています。逞生の【生き残れますように】という願いを聞いた生駒は、『俺の願いはカバネを滅ぼして田んぼも駅も全部取り戻す』と宣言。『生きてる以上は望みたい、手に入れたい』と言う生駒に、菖蒲も顕金駅を再興したいと願います。それを聞いて民人もみんな、自分達の夢を改めて思い描くのでした。
『俺は大金持ちになって、美人の嫁さんを3人もらう!』

翌朝、倭文駅に狩方衆の駿城がやってきました。狩方衆とはカバネを退治するために組織された独立部隊で、それを率いているのが将軍の子息である【天鳥 美馬あまとり びば】でした。
美馬に兄様と走り寄る無名。生駒は無名に穂積の名を捨てさせ、弱いやつは死ねと教えた美馬を確かめる決心をするのでした。

第八話 黙す狩人

倭文駅にやってきた美馬に挨拶をする菖蒲。無名は美馬に甲鉄城には自分以外にもう一人、カバネリがいると自分の盾である生駒を紹介します。生駒は相手が将軍の子息である美馬だろうと臆さずに、『弱いやつは死ねと無名に教えた人ですよね』と強気で当たります。
別の場所で改めて話しましょうと美馬は菖蒲たちを自分たちの駿城【克城】へ案内します。
美馬は【弱いものが死んで強いものが生き残る】のは、弱者切り捨ての話ではなく逆に【戦うことで救う】と美馬は生駒に説きます。予想を反する美馬の言葉に生駒は少し戸惑います。そこに倭文駅を目指してカバネの大群が押し寄せてきました。どうやら将軍家五州廻り小源太の策略でカバネと狩方衆の闘いの隙に美馬を仕留める思惑です。

美馬達はカバネ掃討に討って出ます。美馬率いる狩方衆と克城が倭文駅外でカバネ達を圧倒する姿を目の当りにして、これまでカバネと距離をとって戦っていた武士達は信じられないと驚嘆します。生駒も狩方衆と同じく接近戦でカバネと戦います。次々とカバネを倒す美馬達の前に複数体が合体した巨大なカバネが現れますが、無名は狩方衆のカバネリであり美馬の側近である滅火ほろびと共闘で巨大なカバネを瞬殺。
混乱に乗じて美馬の背後に近づく榎久ですが、美馬に返り討ちにされます。それを見ていた生駒は命乞いをしたにも関わらず、榎久を殺した美馬に不信感を募らせます。
榎久が暗殺に失敗したことを倭文駅で見ていた小源太と広塚を狩方衆が襲撃。小源太は殺され、広塚は狩方衆に連行されます。

金剛郭まで甲鉄城を警護することを申し出た美馬に守られ、倭文駅を後にする生駒達。生駒は無名がカバネに噛まれたことがないのにカバネリになった事実から、無名は美馬に人為的にカバネリにされたのでは?と逞生に疑念を打ち明けます。

無名は美馬と初めて会った時の事を回想していました。『お前の母も弱くなければ生き残れた。一人で生きろ、誰にも頼るな。呼ばれる為の名前はお前に不要だ。これからは無名を名乗れ。』
気づくと克城の医療室で検査を受けていました。
美馬は無名に甲鉄城の【親鍵】を取ってくるよう依頼します。親鍵は菖蒲が持っていると言う無名に、『菖蒲は無名より強いのか?』と問う美馬は菖蒲が無名より強くなければ何も問題ないだろうと穏やかに言い放ちます。

克城の中には大量のカバネを押し込め閉じ込めた檻とカバネの鋼鉄皮膜の心臓と同じ形状の物体を保管した部屋がありました。カバネの鋼鉄皮膜の心臓が赤く光を発しているのに対して、これは青く光りを発していました。そこに連行された倭文駅城主 広塚は身体の自由を奪われ拘束されていました。
十年前、カバネ達の中に美馬達を置き去りにしたのは誰か?を広塚に尋問する美馬。広塚は自分ではなく、上様がやった事だと叫びそれが最後の言葉となりました。

克城の外で逞生と話す生駒ですが、克城の貨物車両に大量のカバネの気配を感じます。
菖蒲の元へ甲鉄城の親鍵を渡すように迫る無名。誰かに頼まれたのかと問う菖蒲に、無名はいいから渡してと迫ります。何かあると感じた菖蒲。ちょうど菖蒲の部屋を通りかかった侑那は機転を利かせて、連結作業があったから自分が親鍵を持っていると言い、偽の親鍵を無名に渡します。
美馬は無名が手に入れた親鍵はボイラー室の鍵だと言い、自分達が信用されていないと無名に刷り込みます。美馬達のいる貨物車両のドアを叩く生駒。美馬に言われて生駒を追い返そうとする無名。
大量のカバネを克城に積んでいるという生駒に、カバネを研究するために必要だという無名。その研究でカバネリにされたのでは?と問う生駒に、無名は力を手に入れる為に自分からカバネリになることを頼んだと言います。生駒の説得も無名には届かず美馬の元に戻る無名。榎久を殺した時に美馬は笑っていたことで生駒は抱いていた疑念を確信に変えるのでした。

第九話 滅びの牙

克城と甲鉄城は金剛郭を目前に最後の駅である磐戸駅で止められます。将軍の指示で狩方衆を金剛郭に通さないようにと通達が出ていました。美馬達と離れる甲鉄城ですが無名とも離れることに。生駒と菖蒲は、美馬の元へ置いておけないと無名を連れ戻すこと決意。

同じ頃、克城では何かの作戦があるようで、実行に際して無名の力が必要だと言う美馬に無名は賛同します。美馬の付従は女子供だけとの条件付きで、磐戸駅城主の前田が会談を受け入れます。

美馬より先に前田と会談をしている菖蒲と侑那。美馬を招いても良いという前田に付従は女子供だけとした条件について、側近が前田は上様と美馬の確執を存じ上げていないと言います。美馬が十年もの間(幕府のために)カバネ討伐をしている事実から、確執を気にしているはずがないと人柄の良い前田は思い込んでいました。

菖蒲達と会談中の前田の元に、滅火と無名を付従した美馬がやってきました。厠に行きたいと言い出す無名はそのまま単身で作戦を遂行します。その姿を遠くから発見した生駒と逞生。
同じく克城の狩方衆も作戦遂行に動き出しました。無名は磐戸駅の跳ね橋を下ろし克城にいる狩方衆に合図を送ります。合図を受けて動き出す狩方衆。跳ね橋を下した無名の元へ生駒と逞生がやってきて何をしているのかと問いただします。磐戸駅に入れない克城を駅の中に入れるだけだと主張する無名。そこで生駒達が見たものは、血をまき散らしそれをエサに大量のカバネを引き連れて、開放門に向かってくる狩方衆の操る自動二輪車でした。跳ね橋を上げようとした生駒ですが、狩方衆の瓜生が跳ね橋のワイヤーを切断しカバネの侵入を止める術がありません
。磐戸駅に鳴り響くスズナリ。美馬は止めに入った菖蒲と侑那を一蹴し、前田とその家臣たちを殺害。磐戸駅内は阿鼻叫喚の光景が広がっていました。
崩壊する磐戸駅を眼下に無名は己の目を疑います。人々が惨たらしく死んでゆく様をみて自分を責める無名。
一方、戻らない菖蒲を捜して来栖が克城内に連れ去られる菖蒲と侑那を発見します。

克城内では、美馬が青く光るカバネの心臓から抽出した液体を滅火に注入します。滅火がコアとなってカバネの死骸を次々と取り込んでいき黒煙と化しました。美馬はカバネリを心臓に人工的
に融合群体を作り上げたのです。美馬の目的はすべての開放、土地も人もその恐怖も。
鵺(人工的に作り上げられた融合群体)は磐戸駅の大門を破壊。
駆け寄る無名に美馬が言います。『見ろ、無名。これが我々が求めてきた等しく公平な世界だ。』

鵺の中で自我を失う滅火。それにより鵺はその姿を保てずに崩壊します。一連の流れを観察していた狩方衆のカバネリ研究者である莊衛に、部下が滅火に白血漿の投入を進言しますが、もう手遅れだと話します。そこに菖蒲と侑那の救出に来栖が克城に乗り込みます。ガトリング銃で来栖を狙う莊衛。菖蒲はスキをついて莊衛の部下から白血漿のケースを手に入れ、攻撃を止めなければケースを克城の下へ投げ捨てると脅します。もみ合いの中、来栖と莊衛は克城の下へ落下し土煙でその姿が見えなくなります。
一方、鵺から分離して人の姿に戻った滅火ですが、自我を失ったままで仲間である狩方衆にも襲い掛かってきます。美馬に刃をかざす滅火。刃が美馬の鼻先に迫るすんでのところで滅火が自分を取り戻しました。美馬に向けて穏やかな微笑みを浮かべる滅火を、美馬はその表情を変えずにためらいなく貫きました。
生駒達は狩方衆に銃を突き付けられ包囲されてしまいます。
『見ろ、檻から解放されたこの世界を。今こそすべての者は駅を捨て、闘いに身をさらすべきだ』
『ここでは臆病者は死に絶え、力あるものだけが生き残ることができる。それがこの世界の理だ。』
『よって我らは、臆病の象徴たる将軍の居城、金剛郭を破壊し解放する。』
狩方衆によって動きを封じられた無名は美馬の宣言を聞いて戸惑います。
『兄様、いままでのは全部嘘だったの?。』

第十話 攻め上ぐ弱者

金剛郭に向けて走り出す克城。捉えられ収監された生駒。甲鉄城の人々も着替えさせられ行動を制限されています。その中で巣刈は美馬側について食料配給などの雑務に従事していました。
一方、甲鉄城の選抜された民人達は血を取られています。
菖蒲は甲鉄城の民人達の助命と引き換えに、美馬を将軍の前に座らせることに協力させられます。将軍に会ってどうするのかと尋ねる菖蒲に美馬は過去の出来事を語ります。
10年前、大規模なカバネ討伐作戦が行われました。幕府は若干12歳の美馬を総大将とし、九州に40万の大軍を派兵します。最初は幕府側の優位な展開でしたが、ある時から後方の補給線が途絶えて美馬達はカバネの中に置き去りとなり壊滅の憂き目に遭ったのでした。そこから生き延びた美馬は、原因の張本人である将軍を裁くことを目的に生きてきたのでした。

甲鉄城の人から血を取っていると知った無名は何故かと美馬に問います。無名は美馬が何を考えているかがわからず、恐れを抱くようになります。

生駒達は事態を好転させるために、克城の機関室を乗っ取る計画を進めます。
配給のタイミングでバルブを開け、混乱に乗じて全員で作戦を遂行します。巣刈に襲い掛かる逞生を生駒が制止し、巣刈はスパイとして生駒に情報を流していたことを告げます。
生駒達の反乱を聞いた美馬は、無名に対処するように言います。できないというならば、無名に行っている投薬をやめると。美馬に対する信頼が揺らぐ無名は、できないと初めて美馬に逆らいます。すると無名に黒血漿を打とうと美馬の部下たちが襲いかかってきます。心臓の鼓動が早まり動けなくなる無名。美馬は無名への血の投与量を減らしていたのでした。

機関室に近づく生駒と逞生。作戦のはじめに奪ったカギ束の最期の1本が合いません。そんな生駒達の前に美馬が現れます。明日には金剛郭に到着するため、反乱を起こすならこのタイミングしかないと美馬が最期のカギをすり替えていたのでした。
詰めが甘いと生駒に向けて銃弾を放つ美馬。銃弾は生駒ではなく逞生を貫きました。逞生が身を挺して生駒を護ったのです。
動かなくなった友を抱て叫ぶ生駒に、美馬は感想を言えとぶっ壊れた投げかけをします。しかもその回答によって狩方衆の仲間にすると。
喪失感の生駒は狩方衆に歯が立ちません。形見の石を身に着けていた右手も銃弾でぶっ飛ばされ絶対絶命の生駒の前に焦点が合わず虚ろな目をした無名が立ちはだかります。心配する生駒の心臓を無名の刀が貫き、生駒は克城外に投げ出されてしまいます。

動かなくなった逞生の手には、形見の石が握られていました。

第十一話 燃える命

侑那達が逞生の元へ着いた時には微動だにしていませんでした。
克城外に投げ出された生駒は、海辺の岩場に落ちて意識を取り戻します。

克城の青い心臓が保管してある部屋で、自我を失った無名に美馬は自分の過去を話しだします。美馬の父の将軍は臆病な男で、恐怖心から誤って幼い美馬を切りつけて怪我を負わせてしまった。それからは美馬にいつか仕返しされると恐れ、美馬を疎ましく思い続けた。
美馬は無名に滅火に注入した液体と同じものを投与します。

金剛郭では将軍が領民へ向けて、最期の砦である磐戸駅の大門が人の手によって破られたこと、実行したのは狩方衆総長の天鳥美馬であること、しかし心配はいらないと伝えます。

海辺で目を覚ました生駒。自分のせいで逞生が死んだことや、無名にも何もできなかった自分の無力さを悔います。近くにカバネが現れますが、気持ちが折れた生駒にはもはや戦いを選択する気力はなく、他の民たちと同じように恐怖にかられ物陰に身を潜めます。
生駒が隠れた廃屋に一人の人間が入ってきました。入ってきたのは克城で莊衛と落下した来栖でした。生駒から現状を聞いて、おめおめ逃げてきたのかと生駒を攻める来栖。そこに来栖に捕らえられた莊衛も入ってきて生駒の心臓辺りにある刀の刺し傷を見つけ興味を示します。自身の無力さに自信喪失の生駒を置いて、来栖は甲鉄城を追うために廃屋から出ていきます。

金剛郭に甲鉄城が入城を申請してきました。幕府は克城が来ると備えをしていましたが、甲鉄城は磐戸の大門を破壊した重罪人をとらえてきたと言います。入場を認められた甲鉄城。菖蒲が美馬を捕獲して将軍と接見することに。
拘束された美馬は将軍の前に突き出されます。持ち物の中に美馬が父である将軍から唯一頂いた品である短刀があり、最期は父の手で短刀を使って自分を殺してくれと要望する美馬。短刀の刀身を引き抜こうとした将軍は違和感を覚えて、握っていた手を開くと小さな刺し傷で手のひらからほんの少しだけ出血していました。
美馬は死ぬまえにお伝えするといって、自分がカバネとの闘いでなぜ生き残れたのか、それはカバネが人の中に潜んで今にも仲間を増やしている、自分にはその見分け方が付くからだと。
そこまで話すと将軍の様子がおかしいことに気づきます。将軍の手から肌の色がカバネのように変わっていき、顔面も黒い肌と血管が赤く光り表面に浮き出てきました。将軍を護る武士もパニックとなりカバネと化した将軍を撃ちぬきます。最後は美馬が止めを刺し、金剛郭全体に将軍はカバネだったこと、他にもカバネが城内に入り込んでいることを拡声器で流します。
金剛郭のいたるところで疑心暗鬼によるパニックでの殺し合いの発展します。
スキをついて金剛郭に入り込んだ克城。城内に克城に閉じ込めておいたカバネ達を放出しさらにパニックは拡大します。

はやくしないと無名の鵺降臨に立ち会えないと来栖をせかす莊衛。甲鉄城を追うために生駒の立ち直りを期待する来栖は生駒に胸の傷について伝えます。『少しでもズレると致命傷になっているが位置・角度・強さ、狙わなければそうはならない。』
それを聞いた生駒は無名に意識が残っていて、自分を助けたことを悟ります。しかし急がなければ無名は黒煙にされてしまうのです。

金剛郭で自分の意識が虚ろな無名。人々の死体に蝶が止まっているのを見て、人が死ぬと蝶が魂を迎えに来ると母から聞いたことを思い出します。そのまま周囲にあるカバネの死体をその身体に集めて取り込んでいくのでした。

莊衛から鵺の心臓になったカバネリは心を失い命が終わる、助ける方法は白血漿を打てば鵺から無名を取り出せると聞いた生駒はある決心をします。
それは黒血漿を自分に打つこと。黒血漿はウイルスを活性化させ増幅する促進剤です。女のカバネリは鵺の心臓になるが、男のカバネリは命を燃やすカバネになるだけだと莊衛が言います。『美馬を殺し無名を救う、そのためだけの命だ。』
本当に力を出し切るならば枷紐をはずせという莊衛。
『今こそ俺は、俺の誇れる俺になるんだぁ~』と叫びながら枷紐をはぎ取り覚醒する生駒

鵺と化した無名を見て美馬は呟きます。『そうだ無名、壊してしまえ、恐れも、悲しみも、愛もすべて』

第十二話 甲鉄城

鵺と化した無名により炎に包まれ崩壊の一途をたどりる金剛郭。カバネで溢れかえる城内に突入した生駒と来栖は、襲い来るカバネを撃退し無名の元へ急ぎます。莊衛が持っていた黒血漿と白血漿を1本ずつのうち、黒血漿は生駒が使ったために残るは白血漿1本のみ。しかし残った白血漿で救えるのは無名か生駒かどちらかだけ。

鵺と化し意識のない無名は夢?を見ていました。沢山の蝶に追われる無名は自分がしてきたことの罪の意識に苛まれます。
菖蒲は甲鉄城に戻り金剛郭脱出を皆に伝えます。
同じころ、目的を果たし金剛郭脱出を企てる美馬ですが、そこに殺したはずの生駒が自身のいる天守に向かっていると情報が入り驚きます。
生駒を止めるために克城で生駒ごと轢き殺そうとする沙梁さはり。しかし覚醒した生駒は片手で克城を吹き飛ばします。襲いかかる沙梁を失った右手の代わりに取り付けたツラヌキ筒で打ち抜きます。
生駒が生きていると知って瓜生うりゅうには狩方衆を連れて金剛郭を脱出しろと告げ、自ら生駒の元に赴く美馬。『行かなくては。命を燃やす男が俺を呼んでいるのさ。』

鵺の中で自分の存在を否定する無名。そんな無名の元へどこからか青い蝶が1匹近づいてきます。青い蝶が生駒だと感じた無名はそれに向かって手を伸ばしました。
自身の精神世界で生駒に救いを求めた無名。それにより無名を核とした鵺はその場に倒れこみ破壊活動を停止します。
鵺の元に駆け寄る生駒。心臓部分に囚われている無名を発見し助け出そうとしますが、生駒の前に美馬が立ちはだかります。
『ずっと待っていた。恐れを知らぬ魂。私は今こそ、それを狩る!』

『そこをどけぇ~、美馬ぁ~』 生駒と美馬が激突します。
変貌した生駒の姿を見て、黒血漿を打ったことを悟った美馬はそうまでして何を求める?と生駒に問います。『無名を人間に戻すと約束した、それだけだ』と答える生駒の胸を美馬の刃が貫きました。身体を貫かれながらも刃をへし折り、この世のものとは思えぬ憎悪をたぎらせて美馬に迫る生駒に、かすかに恐れを抱く美馬。
しかし生駒の身体は黒血漿に侵され活動を停止、さらにその視力まで失ってしまいます。これを好機ととらえた美馬は、生駒の背後から忍び寄り刃を突き立てます。
精神世界で叫ぶ無名の右手から生駒のお守りが零れ落ちると同時に、現実世界で鵺に囚われた無名の右手からもお守りが零れ落ちて、池に波紋を広げます。その音で生駒は背後に気づき、ツラヌキ筒を美馬にむけて放ったのでした。ツラヌキ筒は美馬の左肩から腕を吹き飛ばしますが、そこには赤く光るカバネの心臓があったのでした。上半身の1/3を失った美馬は、地面に仰向けに倒れこみます。
無名の元に歩み寄る生駒は、鵺の心臓となった無名に白血漿を打ちます。これにより無名は呪縛から解き放たれて鵺はその身体を崩壊させます。

気が付いた無名の右手にはお守りが握られていました。辺りを見渡すと生駒が倒れています。そこに瀕死の美馬が立ち上がり、生駒めがけて銃弾を放ちます。美馬に向けて叫ぶ無名ですが、美馬には届きません。
『何をしている、起きろ生駒、この通り私はまだたっているぞ、戦ってみせろ、生駒ぁ~』生駒に刃を向けて走り寄る美馬ですが、無名の手により身体を貫かれます。
『私たちは弱くても生きるよ。皆で田んぼを作ってお米を食べる明日を目指すよ。だから、ごめんね、兄様。』
『そうか・・・無名』
『違うよ、私は穂積』

甲鉄城の避難が始まりました。菖蒲達は瓜生達と協力し金剛郭を脱出します。
意識の戻らない生駒の元に来栖も駆けつけます。13番線で合流しようと鰍がスピーカーで無名に呼びかけます。
美馬を葬り、生駒のマントをまとった無名は生駒を背負った来栖と13番線を目指して走りだします。無事に菖蒲達と合流し金剛郭を抜けた甲鉄城ですが、生駒の意識が戻りません。無名の必死の呼びかけで意識を取り戻した生駒。その時、黒血漿で活性化した生駒の心臓がもとに戻っていきます。美馬が闘いの中で生駒に白血漿を打ちこんでいたのでした。
生駒にお守りを渡す無名
『忘れ物だよ』といって満面の笑みを浮かべるのでした。

甲鉄城は金剛郭を後に走りだします。

アニメレビュー

■作品解説
WIT STUDIOによるオリジナル作品。フジテレビ系ノイタミナで放映。
スチームパンクの世界観でゾンビを彷彿とさせる不死の怪物【カバネ】と人類との闘いを描くダークファンタジー。劇中での残虐なシーンが多くその中でも逞生の死亡フラグは予想外でした。
カバネとは何か?という問いは作品中では解明されず、冷静に考えると最終回では美馬を倒したものの日ノ本の政治の中枢である金剛郭を失った社会はこの後どうするのか。多数のカバネが存在する世界で希望のある未来を描きにくいエンディングです。ただし、生駒は世の中からカバネを根絶して無名を人間にもどし、お米を食べれる世の中を作ることを目標としているのでそうなることを想像するというエンディングでしょうか。

■おすすめシーン
第二話で跳ね橋が下がらず打つ手なしの状況で生駒が甲鉄城を救ったシーン
生駒『見ろ、俺を見ろ。お前らが蔑んだ男が血を流して死ぬところを。よく見ていろ。』
俺がお前らを助けてやる。見捨てたやつに助けられた記憶をずっと抱えて生きて行け、それを俺はあの世から笑ってやる。ざまぁみろって。』

第四話でワザトリを撃破し、信頼を得た生駒と無名。夜明けを走る甲鉄城で妹の事を想いながらエンディングにつながるシーン。ED曲の【ninelie】が一番印象的に残ります。

第六話 甲鉄城にせまる集合群体から四八式をまもる武士達。カバネの鋼鉄皮膜で覆った刀を手にする来栖に、生駒は『死んでも武器のせいにするなよ』と言い、二人で飛び出すシーン。来栖の『前に出る!』の掛け声とともに来栖と生駒の共闘です。それだけにとどまらず、甲鉄城の全員が各々の力を最大限発揮して集合群体を撃破する総力戦。ここで【KABANERIOFTHEIRONFORTRESS 歌:Eliana】が挿入歌として流れます。
これが最高にしびれます。

第八話 生駒と美馬が初めて顔を合わせた時の美馬の第一声 『君が甲鉄城のカバネリか』 ここでタイトル回収でした。

第十話 克城の機関室を乗っ取る作戦を立てた後の生駒と逞生の会話のシーン。無名と初音(生駒の妹)が似ているのか?と問う逞生に対して、似ていないが【今度こそ助けろよ、逃げるなよ】と誰かに言われている気がするが、誰かわからないこと答える生駒。逞生はそれは生駒自身だと言う会話のやり取りです。
初音を救えなかった事が乗り越えられない壁として、生駒の中にずっと存在していました。無名を救う事でそんな生駒自身も救われるというフラグになっています。

同じく十話で逞生が美馬の銃弾に倒れるシーン。カバネリになった生駒が銃で打たれた時、なぜ身を挺して助けなかったのかと後悔をしていた逞生。それをやっと出来たと言い残して息を引き取ります。生駒と同じように逞生も後悔をしていたのでした。多分、直前の生駒との今度は助けろという会話があって、逞生はこの決断をしたのでしょう。
生駒との会話が伏線になっていますが、まさか死んでしまうとは予想外でした。

第十一話 生駒が自らに黒血漿を打つシーン。『美馬を殺し無名を救う、そのためだけの命だ』と覚悟をきめる生駒。助けを求める初音を力がなかった為に救えなかったこと、その初音に重ねた無名も自分の力がないために救えなかったこと、しかし次はすべてを投げうっても救うという生駒の強い想いがひしひしと伝わります。
挿入歌の【Through My Blood】も生駒の覚悟の強さを見事に演出しています。

第十二話 沙梁が覚醒した生駒を克城で轢き殺そうとするまさにそのとき【Through My Blood】のサビから挿入されるシーンがしびれます。