こんにちは。アニメ大好きyosshisshi(よしっし)です。
今回は2023年夏アニメからアンデットガールマーダーファルスのアニメレビューです。
あらすじ<introduction>
19世紀末。吸血鬼・人造人間・人狼など、異形な存在がまだ暮らしていた世界。首から下のない不老不死の美少女探偵・輪堂鴉夜が、“鬼殺し”の異名を持つ半人半鬼の真打津軽と、彼女に付き従うメイドの馳井静句と共に、怪物専門の探偵 “鳥籠使い”として数々の事件を解決しながら、鴉夜の奪われた体を探してヨーロッパを巡る―――。
アニメ情報
STAFF
原作:青崎 有吾 『アンデットガール・マーダーファルス』(講談社タイガ刊)
監督:畠山 守 シリーズ構成:高木 登 キャラクター原案:岩本 ゼロゴ
キャラクターデザイン・総作画監督:伊藤 憲子
サブキャラクターデザイン・総作画監督:小園 菜穂
美術監督:関口 輝 佐藤 理来 撮影監督:塩川 智幸
色彩設計:中村 千穂 3Dディレクター:菅 友彦
編集:松原 理恵 音楽:yuma yamaguchi
音響監督:若林 和弘
オープニングテーマ:CLASS:y 『Crack-Crack-Crackle』
エンディングテーマ:Anna 『reversal』
アニメーション制作:ラパントラック
2023年7月から9月までのフジテレビの『+Ultra』枠ほかにて放送
登場人物
輪堂 鴉夜(りんどう あや)CV:黒沢 ともよ
<962歳の生首美少女探偵>
怪物専門の探偵。この世に一人しかいないと言われる”不死”なる存在。
ある日、襲撃を受け奪われた身体を取り戻すためヨーロッパを旅することに。
一人では動くことが出来ないため、普段は鳥籠に入って持ち運ばれている。
真打 津軽(しんうち つがる)CV:八代 拓
<飄々としている半人半鬼の”鬼殺し”>
半人半鬼の青年で鴉夜の助手。”鬼殺し”として見世物小屋で働いていた。
飄々とした性格で、鴉夜を師匠と呼び時折二人で軽快な会話を繰り広げる。
”鬼”の特性を持っているので戦闘能力が非常に高い。
完全に鬼になってしまわないように”不死”である鴉夜の唾液を定期的に摂取することで進行を食い止めている。
馳井 静句(はせい しずく)CV:小市 眞琴
<特殊な武器を使う鴉夜の忠実なメイド>
鴉夜に仕えるメイド。一族の家訓として生まれた時から鴉夜に仕えている。
鴉夜に対する忠誠心は高く、普段はクールで寡黙だが、津軽のことは邪険に扱っている。
銃と刀を合体させた特殊な武器”絶影”を持ち歩く。
アニー・ケルベル CV:鈴代紗弓
<神出鬼没な新聞記者の少女>
赤毛とそばかす顔がチャームポイントの14歳の少女。
パリのエポック紙の特派員。持ち前の身軽さで取材対象に迫っていく。
鳥籠使いとは顔見知りで、事件を嗅ぎつけては取材と称し、度々彼らの前に姿を現す。
シャーロック・ホームズ CV:三木 眞一郎
<世界最高の探偵>
世界一とも評される名探偵。
ベイカー街221Bに住み、癖毛でやせ型、鹿撃ち帽に袖なしコートで過ごしていると思われることが多い。
もう若くはないが、特殊な格闘術を身につけているという噂も。
ジョン・H・ワトソン CV:相沢まさき
<ホームズの相棒>
医師であり、シャーロック・ホームズの助手。
口髭と帽子がトレードマーク。かつてはホームズと同居していた。
従軍経験があり、ホームズと2人での戦いが得意。
ホームズの活動を小説にして発表しているが、本人からはしばしば文句を言われている。
アルセーヌ・ルパン CV:宮野 真守
<”最後から二番目の夜”を狙う怪盗紳士>
フランスの若き大怪盗。
大胆不敵な発想でどんな場所からでも狙った獲物を盗んでみせる。
英国のフィリアス・フォッグ氏に”最後から二番目の夜”を盗み出すと予告状を送りつける。
ファントム CV:下野 紘
<ルパンに盗まれた”オペラ座の怪人”>
パリの歌劇場の地下深くに隠れ潜む神出鬼没の男。通称”オペラ座の怪人”。
生まれつき白髪で、常に右顔を隠す仮面をつけている。
歌姫から宝石を盗んだルパンを追うも敗北し、逆に自身を盗まれルパンの所有物として彼の作戦に参加する。
ジェームズ・モリアーティ CV:横島 亘
<犯罪組織”夜宴”のボス>
数学教授を表の顔とし、ロンドンで数々の犯罪を糸引いていた男。ホームズとの対決に敗れ、死亡したと思われていた。
現在は<夜宴>という組織を率いているが、はたしてその目的は。
アレイスター・クロウリー CV:杉田 智和
<魔術と数秘術の研究家>
<夜宴>の一員。
カルト教団を渡り歩き、邪悪な儀式を繰り返した青年。”魔術師”を自称し、警察からも指名手配されている。爽やかな物腰と裏腹に酔狂な一面を持つ。
カーミラ CV:近藤玲奈
<妖艶な女吸血鬼>
<夜宴>の一員で、オーストリア出身の女吸血鬼。
同族の中でも五指に入るといわれる実力者。日傘に仕込んだ剣を武器とする。
奔放な性格で、女性の血を好む。
ヴィクター CV:山本 格
<怪力と無痛を誇る人造人間>
フランケンシュタイン博士の手記を元に、死体をつなぎ合わせ作られた人造人間。
超人的な筋力を持ち、痛みも感じない。
孤独に彷徨っていた所でモリアーティと出合い、”ヴィクター”という名前と<夜宴>という居場所を与えてもらう。
ジャック CV:斉藤 壮馬
<頭脳明晰な”切り裂き魔”>
十五歳の時にロンドンで完全犯罪を成し遂げた男。通称”切り裂きジャック”。
清国に潜んでいたモリアーティを探しあて、強靭な肉体がほしいと依頼、自らを怪物化した。
現在はモリアーティの右腕として活動。切れ味するどい両の手刀が武器。
ノラ CV:内田 真礼
<常に冷静な人狼の少女>
人狼の村・ヴォルフィンヘーレに住む少女。
何事にも動じない性格で、周りから信頼されている。
完璧な半面、お寝坊さんな一面も。
ヴェラ CV:花守 ゆみり
<仲間思いな人狼の少女>
人狼の村・ヴォルフィンヘーレに住む少女。
十四歳。勝気で少し不器用な性格。仲間のために動く行動派。
カーヤ CV:中野 さいま
<人狼たちのお姉さん役>
人狼の村・ヴォルフィンヘーレに住む少女。
ノラ、ヴェラと仲がよく、行動を共にすることが多い。
人間の村出身で、十歳の頃に土地を追われヴォルフィンヘーレに辿り着いた。
ストーリー<ネタバレ注意>
明治30年、我々の知る明治とは別の怪異が息づく時代の東京。政府によって怪奇一掃(妖の類の大規模駆除政策)が行われ怪物たちの殺し合いなどを楽しむ見世物小屋で”鬼殺し”として活躍する真打津軽のもとに、メイドの馳井静句を引き連れた生首の美少女・輪堂鴉夜が訪ねてくる。津軽は鬼半分人半分の”鬼交じり”でこのままだとそのうち鬼に食われると鴉夜に告げられる。鴉夜はこの世にだた一人の”不死”であり津軽の寿命を延ばす代わりに自分を殺してくれと取引を持ちかける。話を聞くと鴉夜の首から下をもっていったのは鬼交じりで黒幕はMと刻まれた杖をもつ異人の老父だという。鬼に傷付けられれば傷は治らないが相手が鬼交じりであった為、首だけでも生きているという。津軽も昔、Mと刻まれた杖をもつ異人の老父に鬼交じりにされた過去がある。鴉夜と津軽の目的が一致し、犯人を追って欧州へ。
1899年、ロンドン。鉄人フォッグの元に、若き大怪盗アルセーヌ・ルパンから人工ブラックダイヤ<最後から二番目の夜>とその保管金庫を狙うと予告状が届く。探偵シャーロック・ホームズと欧州各地で怪物専門の探偵”鳥籠使い”として知名度を上げた鴉夜たちにフォッグから依頼が舞い込み、フォッグの豪邸で相まみえるホームズと鴉夜。そこに怪物撲滅を目指す保険機構”ロイス”も加わり、オペラ座の怪人ファントムを従えたルパンからダイヤを護ることに。そのダイヤには人狼の隠れ里の場所がわかるといういわくがあった。
予告時刻の23時を回った頃<最後から二番目の夜>があるフォッグ邸の余罪の間に天井の通気口から大量の水が流れ込んできた。余罪の間でルパンを待っていたホームズ達は絶体絶命。ロイスが壁を破壊して水を排出したが保管金庫はその姿を消していた。ホームズは同行のガニマール刑事がルパンの変装だと見抜くもルパンはダイヤを奪って逃走。しかし鴉夜の計らいでルパンと対峙するも、新たにダイヤを狙う5人組の犯罪集団<夜宴・バンケット>が参戦。その中には、かつて鴉夜の首から下を奪ったジェームズ・モリアーティの姿が。モリアーティは鬼と人をまぜ世界初のキメラ実験を成功させようとしていた。鬼交じり ジャックに惨敗しダイヤを奪われた津軽。ダイヤを回収したバンケットはフォッグ邸を立ち去るが、奪われたと思われたダイヤを津軽が奪い返していた。ダイヤの秘密に気づいた鴉夜達は人狼の村を目指す。
ドイツの山奥にある村ホイレンドルフを目指す<鳥籠使い>一行。ホイレンドルフにたどり着くが、そこでは少女・ルイーゼが行方不明となっていた。この村では一年ほど前から少女が人狼と思われるものに惨殺されるという事件が4か月毎に起こっていた。ホイレンドルフでは8年前に村に人狼の親子が隠れていたという事件があったことで、村人たちは今回も人狼の仕業だと考えていた。村の村長がダイヤの使い方を知っているとわかった鴉夜は、犯人を見つけたらその事を教えてもらうと村長と約束をかわす。行方不明のルイーゼが8年前の人狼を見破った事を知るがそのルイーゼはそれまで家族からも疎まれていたようだった。そんな中、村で3人いる外部からの移住者の一人、アルマが人狼であることが発覚し人狼を追い詰める鴉夜達。しかし戦いの最中、鴉夜をかばった静句が滝に落ちてしまう。
人狼の村で目を覚ました静句はノラ・ヴェラ・カーヤという3人の人狼の少女に助けられた。人狼村<ヴォルフィンヘーレ>でも少女達の連続殺人事件が起きていた。村からの脱出を試みる静句は他の人狼にみつかり尋問にかけられる。尋問の最中、銃声が響きノラの死体が発見されたことで犯人として疑われる静句。
一方、ダイヤの使い方を聞いた鴉夜達はロイスを引き連れ人狼の村を目指すが<夜宴>のヴィクターの出現でロイスを撒き、代わりにヴィクターに人狼村の場所を教える。
人狼村・ヴォルフィンヘーレへとたどり着いた鴉夜と津軽はヴェラの手助けで静句と合流し鴉夜達は現場検証を始める。ホイレンドルフへ続く地下道を発見した鴉夜達はそこで人狼になったはずのアルマの死体を発見する。その頃、ホイレンドルフでは行方不明のルイーゼの死体が発見された。
ヴォルフィンヘーレにホイレンドルフの村人が攻め入ってくる。さらに<夜宴>とロイスが激突、そして静句も宿敵・カーミラと対峙する。一方、鴉夜はヴォルフィンヘーレとホイレンドルフの村人たちを集め犯人の名を告げる。犯人はヴォルフィンヘーレのノラであり、ホイレンドルフのルイーゼであり、またの名を8年前に死んだはずの人狼娘ユッテだった。ユッテは自分の母を殺したホイレンドルフと、母を追放に追いやったヴォルフィンヘーレの2つの村を憎んで復讐を企てる。逃走するユッテを捕獲した津軽に鴉夜は人狼村の少女を逃がすことが動機とユッテを逃がす。
事件を解決した鴉夜達は、ヴィクターから鴉夜の身体はロンドンにあることを聞き、ロンドンを目指す。
アニメレビュー
ミステリーを軸としたストーリー展開で、誰もが一度は耳にしたことがある様々な物語の登場人物たちが対峙します。そこに怪物という異形の要素と主人公は首だけの美少女というインパクト絶大なキャラクターが登場。いきなり興味をそそられます。
初見は驚きと不気味さを感じましたが、鴉夜と津軽の掛け合いが滑稽で気が付いたら首だけの鴉夜が当たり前になってました。そのため身体を取り戻した後の鴉夜を想像できなくなりました・・・。
真打津軽もキャラクターが立っています。とても強いがそれを示さず飄々とした態度で基本の態度は下手。お調子者で噺家のような台詞回しでよく鴉夜に窘められる。物事を論理的に捉える鴉夜と正反対でよいコンビとなっています。
鴉夜に絶対の忠誠心を持つ静句が、津軽には辛辣で冷たく接することも3人の関係のバランスを上手くとっておりアニメ全体を楽しく見れるエッセンスになっています。
本作品に惹かれたポイントは作品の世界観です。
明治という文明開化のタイミングで、これまでの闇の部分<又は古い慣習>を怪物として表現しそれを退治することで人々は新しい時代に進むという大きな流れがあります。その流れの中でマイノリティになりつつある怪物たちと人間たちという相容れない存在の共存も別のテーマになっているように感じました。
フランスで吸血鬼ゴダール卿は人間との共存を選択していますが、次男のラウールは吸血鬼であることこそ自身の矜持として、結果的に悲劇的な最後を迎えます。
最強の戦闘能力をもつ”鬼”でさえ人間に駆逐されるなか、モリアーティ教授は人造キメラを作り出すことを目的としています。弱点のない究極生物を人工的に作り出すことができれば、とてつもない価値を生み出しますからね。モリアーティが望むものは自分達が最強かつ最高の唯一の存在で自分達以外の人間や怪物がどうなろうと全く興味がありません。この思想も鴉夜達と相反する構図として物語で描かれているように感じました。
13話でシーズン完結のため、尺の都合上キャラクターの深堀りは示されていませんが、個人的にはルパンやファントムのエピソードがもっとあればと思いました。アニメではファントムはルパンに盗まれたことが示されていますが、そのストーリーはどんなものだったのか気になります。フランス・ゴダール卿のストーリーはミステリーとして物語の解決と鴉夜たち鳥籠使いの名前を世に広めていくためのストーリーとして必要なパートでしょうし、”最期から二番目の夜”も人狼村や<夜宴>につながる重要なストーリーだからしょうがないですね。24話くらいのシリーズだったら、そのあたりも表現できたような気がしました。
主題歌である「Crack-Crack-Crackle」もオープニングアニメーションとマッチしてやや中毒性のある楽曲だなと思います。おすすめです。